青井タイル店

よく食べ、よく読み、よく歩き、よく働く

読んだ本のメモ:本を読み、恋をせよ…雨森たきび『負けヒロインが多すぎる!』

 時折TwitterのTLに流れてくる八奈見杏菜さんが動きもお声もあまりに可愛く、あまり深入りすると恋をしてしまうかもしれない。そんな恐れから、テレビアニメ負けヒロインが多すぎる!の視聴を避けてきた。が、いざ友人と会話していて「切り抜き動画見たけど八奈見杏菜さんってマジでかわいーよな!」と口にしてみると、あまりにも自分のスタンスがダサすぎる。そういうわけで、まずはアニメ本編を見てみることにした。

 端的に、傑作だ。私は恋を知り、青春を知った。作画よし、演技よし、脚本よし。全てが完璧なアニメ。呆然とするうちに、12話まで見切ってしまった。その間、八奈見杏菜さんが可愛すぎるだろという気持ちは一切ぶれなかった。もちろん、八奈見杏菜さん以外にも可愛らしいキャラクターはたくさん出てくる。が、八奈見杏菜さんは圧倒的に可愛い。本当に可愛い。

 12話を見た後、私はそのままAmazonに向かい、既刊を全て買った。

 八奈見杏菜さん可愛すぎるだろ。

 

 アニメの出来が圧倒的に良い。が、原作もきっちり出来がいい。コロコロとコミカルに動く表情や声優さんの演技があんまりにも良いので、逆に原作を読んだら肩透かしを食うのでは?と心配していた。が、杞憂だった。原作もバッチリ面白いし、キャラクターはイキイキと動き回る。

 たとえば八奈見杏菜さんを例にとってもこんな感じ。

 いっぱい食べる描写をするにしたって、ディテールがある。そのディテールがキャラクターの可愛さを存分に伝えてくれる。八奈見杏菜さん…………好きだ…………………。

 

 可愛さはわかった。では話はどうなのか。これもまた出来がいい。正直なところ、一巻が出た際、この作品について私はあまりいい印象を抱いていなかった。「負けヒロイン」という強いミームで、キャラクターを安易に処理していそうなイメージを勝手ながら抱いていたのだ。

 実際の内容は印象の真逆と言っても差し支えないだろう。ヒロインレースで負けても、人生が続く。ヒロインレースに還元できない青春がある。スパッと割り切れないけど、一対一であったりコミュニティであったりのそこだけにしかない関係を、丁寧に丁寧に積み重ね続けていこうじゃないか。そんな青春への慈しみに溢れた作品なのだ。あと八奈見杏菜さんが本当に可愛い。

 主人公の温水君も可愛い。彼は応援したくなる。温水君は八奈見杏菜さんのこと好きなのかな…………。

 

 

 

以下、最新刊まで読んだ所感

  • 八奈見杏菜さんは、気高いお方だ。内面の示唆が最も省略されている人物であり、それがメタ的な意味でも格の高さを感じさせる。胎界主で言えば存在級位が下がらない。彼女は恋愛やそれを前提にした社交に身を置くことに衒いはない上、その気になれば恋人をいくらでも作れる方の人間だけれど、それでもなおそうとはせずに、温水たち文芸部との日常を選んでいる(ように思う)。なんという慈しみか……。
  • 焼塩檸檬。全般的に担当エピソードが美しい。焼塩檸檬絡みのエピソード
  • 小鞠。唯一明確に告白した上で振られた人物だけあって、早々に次のステージに移行したように思う。割と素直なデレを見せるので、結構驚いた。
  • 佳樹。真の負けヒロイン。正直アニメで八奈見杏菜さんと会話するシーンが描かれるまで、イマジナリー妹なのか?と思ってしまうほど都合が良く、神出鬼没。5巻、すごかったですね。
  • 地元舞台に実在固有名詞を出しながら、青春の割り切れなさや「ラブコメ」に還元されない友愛を描き、だけれどコミカルさと可愛らしさもしっかり失わない作品、世に送り出したすぎるだろ。
  • 登場人物間のつるむ理由、登場するしないの調整がすげえテクニカル。
  • 月乃木先輩があの感じで普通に素行に問題があって普通に成績悪いっぽいのすごいと思う。
  • 馬剃天星愛さんを可愛いと思うけど、それを大声で主張するのどこかははばかられる。
  • 八奈見杏菜さんに差し出された肉に700円の値をつけてしまう温水君、可愛いね^^

 

自分に寄せた所感

  • 思春期の頃の俺も温水君と同じように、男女混合グループで海に行った際、今日のことを忘れないだろうと思っていた。ところがどっこい、忘れるのである。何をしてあそんだのか、女性陣がどんな水着だったのか、そもそも参加メンバーが具体的に誰だったか。忘れてしまうのだ。自信を持って言えるのは、帰りに私と友人(男)で抜け出し、珊瑚礁のカレーを食べたということだけだ。青春はそういう儚さがある。だからこそ温水君が時折みせる感傷は沁みる。
  • 浪人生の頃『俺の妹がこんなに可愛いわけがない高坂桐乃スレにいたので、桂樹の格が俺の中で高い。
  • 今週末京都SFフェスティバルに行く。みんなと話したい作品No.1が負けヒロインが多すぎる!になる。
  • 八奈見杏菜さん本当にかわいい。
  • 最近「ガキの恋愛とか興味ねえんだよな〜〜」という気持ちだったけど全然まじで楽しめちゃった。
  • 地元舞台に実在固有名詞を出しながら、青春の割り切れなさや「ラブコメ」に還元されない友愛を描き、だけれどコミカルさと可愛らしさもしっかり失わない作品、世に送り出したすぎるだろ。俺も鎌倉で「ラブコメ」を描きてえ!!!!!!!!!!